スライム絶頂管理
by 猫又小町
懺悔の気持ちを抱えながらシオンは自分の部屋に入ると、そのままベッドに倒れ込んだ。精根尽き果てたように、倒れ込むしかできなかったのだ。
そして悪夢のような夜が始まった。
「………ッ………ハァ……ハア………」
シオンは眠る所ではなかった。身体が火照ってどうしようもないのだ。
もちろん疲れている。眠りたいのは間違いない。
だけど頭だけが冴えて覚醒し、眠ることも休むこともできず、時折呻きながら身体をのたうたせている。
「………ああ………ハァ……ハア………ああう……」
昼間からずっとセルフ焦らし責めを受けてきた身体は夜になってもほとぼりが冷めるどころかますます燃え盛っている。
その欲求不満を餌とするスライムが徐々に濃い催淫成分を分泌し、一段とシオンを苦しめ抜いている。昼間よりも更に濃く、その上限はないのかと恐れるくらいに。
そんな満たされぬ生殺し責めの灼熱地獄の中で、汗みどろで見悶えるしかなかった。
「………ッ………ハァ……………」
それに心配はもう一つあった。不惑の指輪の効力がそろそろ切れそうなことだ。
その効果はシオンの魔力に依存しており、それが尽きようとしているのをひしひしとその身で感じてしまっているのだ。
いつもなら夜は外して魔力の回復に努めている。
だが魔力が尽きれば不惑の指輪もただの装飾品に過ぎない。
「ふぅ……ハァ………ぅっ………は、はずさなければ……うぐぐっ!!」
そうして不惑の指輪に手をかけたところでピタリと止まる。
だが今なおいやらしいスライムを身体中に貼り付けられ、逝くに逝けない焦らし責めと媚薬責めに苦しめ続けられているというのに、今外せば自分をなくしてしまうのではないかそう考えると、どうしても外せないのだ。
そう考えてる間にもタイムリミットは刻一刻と迫っているのだ。
そうなると頼るのはもう一つの魔力の回復手段の睡眠である。
だけど眠って魔力を回復しなければと焦れば焦るほどかえって目が冴えてくる。意識すればするほど肉が疼いてくるのだ。こんな燃え狂ったように火照った身体で眠りにつくことなどできないではないか……
もしかしたらこうして眠らせないことも淫魔の拷問の一つかもしれない。
眠らせず、ひたすら体力を消耗させ、疲労困憊の極致に追い詰め、抵抗できない獲物をネチネチといたぶるのが淫魔のやり方なのだから。
それはわかっている。わかっているのに、何もできない自分がつらすぎるのだ。
「ハァ……ハァ……ああう……………」
むごいまでの生殺し責めによる、ただひたすら逝きたいという渇望。
ただでさえ抑えきれないというのに、更に増幅させ煽り立てる催淫粘液。
そして眠ることも、身体を休めることもできず、消耗し続ける疲れ。
更には迫りくる魔力切れという焦り。
こうしてただじっとベッドの上に寝転がっているだけだというのに、こうした3重にも4重にも重なる責め苦がシオンを苦しめているのだ。
しかも恐ろしいことに、淫魔はただ見てるだけで全く何もしていないのである。
「ハァ……ああ……ハァ……ハァ………うっ……」
使い魔は天井にぶら下がったまま、じっと目を細めているだけだ。
いつの間にか部屋の中に入ってきてシオンを観察しているのだ。
朱く光った目の先では、あの淫魔たちが何もしていないにも関わらず、ただこうしてシオンが狂ってゆくのを愉快そうに眺めているのだろう。
それが悔しくてならないのだ。
だけど、どうすることもできない。
だが悶々とした時間だけが過ぎてゆくだけだ。
「ああ……い、逝きたい…………逝きたいのにぃ……」
無駄だとわかっていても、勝手に手は股間に伸び、掻きむしってしまう。
その度にむなしくカリカリと爪でひっかく音が部屋に響き渡るだけだ。
音がするだけで、全く何の刺激も与えらることはない。
それは胸も同様だ。先ほどから何度も擦り上げるものの、分厚い鉄板にでも阻まれているかのように、狂おしいほどいきりたった乳首の先には届かないのだ。
「ああ……ううっ……さ、さわりたい……さわりたい……ああっ!!」
あれだけ乳首をいじめることをためらっていたのに、今では思う存分責め抜きたくてたまらなくなっている。
昼間、淫魔によって嬲られた感触が忘れられなくなっているのだ。
それに溺れてしまったらダメ、それがわかっているのにこうして何もされずに放置されていると、あの生々しい感触を思い出してしまうのだ。脳裏からどうしても離れないのだ。
「ダ、ダメよ……そ、そんな……あんなのされたくないのに……」
こうして何もされてないことによって、頭の中でも繰り返し、繰り返し再生し、記憶を定着させられている。身体だけではなく、心の中までをも調略されているのだった。
このままでは快楽の虜に堕ちてしまう、それがわかっている。
わかっているからこそ逃れようとしているのに、踏みとどまろうとしているのに、ずるずると奈落へと引きずり込まれてゆく。
肉体は既に完全に裏切り、快楽を求め抜いている。
それに心ひとつで抗わないといけないのに……だけど……もう……
ピクリ……
だがその時だった。
それまで鳴りを潜めていたスライムが急に動き始めたのだ。
「うぐっ!!」
その瞬間シオンに押し寄せたのは歓喜と恐怖だった。
ずっと焦らされ待ちわびた刺激をようやく与えられた肉体の悦び。
それと同時にただでさえ瀬戸際で崩れ落ちそうだったのに、この一押しで快楽に敗れ堕ちる恐怖。
その葛藤の中で苦しむシオン。
だがスライムたちは戸惑うシオンの様子をむしろ楽しむように、嬉々として躍動するのだ。シオンが苦しめば苦しむほど楽しくて仕方がないようだった。
もちろんこれを操っているのはルル達上級淫魔なのである。
まさに最悪のタイミングを見計らったように遠隔指示したのだろう。
負けたくない……と一瞬思った。
だけど快楽にグズグズにとろけきった肉体では抗いようもなかった。
スライム達が与えるわずかな刺激に翻弄され、頂上に向かってただ昇りつめてゆくのを見守るしかなかった。
「ああ……な、なんで……また……」
だが無情にも絶頂寸前で止まってしまう。
むごいまでの寸止め責めが再開されたのだ。
何もされずにただ放置される生殺し責めにも耐えかねていた肉体である。その傷口に塩でも刷り込むように寸止め責めが開始されたのだ。
少し時間が経過し、ほとぼりが冷めたところでまた再び蠢き始める。
「ああっ!!!………あひっ……で、でも……逝けないぃ………もう少し……もう少しなのに……」
だがまたしても肝心のエクスタシーは与えられず消えて果ててしまう。
あとほんのわずか、たぶん筆先の毛の一本擦られただけでも逝けたかもしれない。
それほどの精緻な焦らし責めなのだ。
昼間よりも格段に上手くなっている。もしかしたらスライム達はシオンのどこを責めれば感じるのか、そしてどうすれば最も辛い焦らし責めの苦しみを与えられるのか学習し続けているのかもしれない。
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