科学探偵団 くいしんぼう担当のおんなのこ その2
by もっさうめし
※リマスターしました。
※前:https://nijie.info/view.php?id=525351
彼女が待つ地下のスタジオ。
「おまたせ。はい、おかわり。」
揚げたてのポテトを山盛りにしてテーブルに置く。
にこりと微笑み、服を脱ぐ。そして、あつあつをほおばる。
モデルの仕事を始めてから、食べるのは立派だ。お行儀は悪いが。
私はシャッターを切り続ける。
仕込みのない定休日の前日。
「ねぇ、おじちゃん。こんなポーズは?」
いつもと違う表情。
「いや、もっと自然でいいよ。」
しかし、やめようとはしない。
「どうしたの?なんか変だよ?」
「…あのね、あたし引っ越すの。」
「へえ、そうなの。どこ?」
父親の仕事はこの街のCATV局。この地域からは離れない。そう思い込んでいた。
「熊本。」
「え、九州!い、いつ?」
「4月になる前に。パパのお仕事が変わるんだって…。」
私との関係を切りたいという親からの合図。
来るべき時が来たということだろう。
「そうかぁ。じゃぁ、このアルバイトも終わりだね。つまり、閉店大サービスってことか。」
つとめて平静を装う。
自分の性癖を満たすことのできた今までが幸運であり、奇跡なのだ。
「えぇ~、まだ先だし。もう少しやらせてよぉ。ほしいものがあるの。」
「なに?なに?洋服?それならお別れのプレゼントで買ってあげるよ。」
「ひみつ。」
「引っ越しの日が決まったら教えて。お別れ会しなくっちゃね。みんなを呼んで。」
「ううん、いいの。みんなとは別でお別れ会するから。おじちゃんとだけでいい。」
「そう?じゃあケーキでも作ろうか。どんなのがいい?」
「あたし木の実とクリームのいっぱいのがいいなぁ。」
:
彼女が帰り、片付けをする。
ドリンクのストローの先にさっきまで彼女がいた。
ふいに彼女がいなくなることの意味が私を襲ってきた。
彼女がいない日常。彼女の声が、笑顔が失われる…。
泣き崩れていた。
:
悪魔はささやく。
「最後なら、すべて奪ってしまえ。」
ちがう、きれいに別れたいんだ。
「裸まで見ておいて、何をいまさら。抱きしめるぐらいはいいだろ。少し眠ってもらえばいい。」
…。
:
「あたしがいなくなっても寂しくないのかな?おじちゃんは。」
2人の気持ちを知るのは夜の闇だけ。
-つづく-
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