ニジエスマートフォン版

2026-03-08 10:22:08 に投稿
閲覧数:82回

ウチの娘クルス(おしごと中のすがた)

by Alchimie

夜中の1時半、殆どが寝静まってるはずの時間。だが流石は王都圏では一番荒事に慣れているらしいグランツだ、闇夜に紛れて侵攻したってのに外壁に到達する前に緊急警報の鐘を鳴らされ、応戦されてる。が、それは向こうの『陽動役の3個部隊』の連中の話し。俺ら『本命』の精鋭部隊の発見と対応にはだいぶゴタついてた。お陰ですんなり外壁内に、グランツの領域内に入れたのだ。後はとっととここの、グランツの王政議会にさえ到達すれば俺達の勝ちだ。王都圏の第二都市を陥落させて我等の領域にすれば一気に我らが勢力が他の勢力全てに強く出れる、そしてそれを可能にした俺達には莫大な報償金が出されるのは間違いない。まぁそれは後のお楽しみだ。まずはあのクソッタレの議会に雪崩れ込めば―――

「そこまでだよ」
衝撃があった。
何かが俺達の部隊の真ん中に『降ってきた』。
「宣戦布告無しの非正規侵攻と、それによる壁内侵入を確認。王政議会の承認によってあなた達を制圧する」
メス性の声だった。降ってきた何かが、塊が『立ち上がった』。
深紫の髪に、全身を覆う真紅のラインが所々にあしらわれてる漆黒の装甲、細長い尻尾に、何より深い赤色の目に額にある一本角。
「コイツ、間違い無い!グランツの違法戦力だ!!」
エウバが叫ぶ。それが引き金になってようやく俺含めて部隊全員が状況を飲み込めた。
「そうだよ、違法侵攻部隊の皆さん」
俺達の真ん中に落ちてきたのは、このグランツが飼い慣らしてる勢力間協定違反の存在、『戦闘用ホムンクルス』だ。
グランツの違法戦力が細長い槍を構えて俺達を見据える。

「利き手はどっち?正直に答えて」

違法戦力が、そう言った。いや、言ったのか?言ってる意味が理解出来なかった。
「舐めてんじゃねえぞ造りモンがァ!!」
違法戦力の後ろに位置していたクアットァが左手に持っていたマチェットを振り下ろす。はずだった。
違法戦力が俺に背を向けた。風を斬る音がした。ちょっとした破裂音がした。クアットァの左腕が肩から斬られて地面に落ちる音がした。それらが全て一瞬で起きた
「ーッぐああぁぁぁああぁぁあ!!!!??」
クアットァが膝から崩れ落ちた。

「答えないなら武器を持ってる方を肩から落とす」

違法戦力が槍に付いたクアットァの血を振り払い、再び構える。

「正直に答えて、利き手はどっち?その逆を肘から落とす」


周りの連中が次々と腕を斬られ、俺も左の肘を斬り飛ばされて、その時にようやく把握した。
同じようにグランツに宣戦布告無しの侵攻をして命辛々に帰って来た連中、毎度毎度そのなかに肘を綺麗に斬り飛ばされてるヤツが居たのを。
今度は俺達が、生き証人になる番だってのか。
いや、不正侵攻は勢力間協定の撤退してる相手への追撃禁止令の保護対象外だ。 
そもそも俺達は何人、生きて帰れると言うのだろうか。

おすすめのDL同人作品

同人作品PR

おすすめのイラスト