触れ合う気持ちの良さを我慢する練習
by 碓井央
一緒にパ・ド・ドゥを踊る時、わたしたちが「触れ合」ってしまうことがあるので、そういうときに備えて練習しなければいけません。
わたしたちはなぜか「触れ合」っているだけで気持ちが良くなってしまいます。これは良いことですが、良くないことでもあります。
だからときどき「触れ合」って、その気持の良さを我慢できるようにします。
「触れ合」っていると彼のそれの暖かさを感じます。そして、だんだんと彼の感じていること、考えていることを想像してしまったりします。
そして、わたしがそんな想像をしていることを、彼は想像しているだろうか、と考えてしまったりします。
お互いの想像がぐるぐると回って、きりがありません。
いつのまにか顔が真っ赤に火照ってしまうこともあります。
きっと、彼に対するわたしの想像は当たっていて、わたしに対する彼の想像も当たっているのでしょう。
何かの拍子に身体が動いてこすれ合うと、自分でも信じられないような声が出てしまいます。
そして、どうしても我慢できなくなってしまうと、「触れ合」っているわたしたちの身体は、勝手に気持ちよくなって行くのです。
まるで誰かに心を乗っ取られてしまったかのようです。わたしがわたしでなくなり、彼も彼ではなくなるのです。
最後には、心が壊れるほどに気持ちよくなってしまいます。練習としては失敗です。
この練習は、いつも失敗してばかりいます。
本番の舞台で彼と「触れ合」ったとき、この気持ちの良さを我慢できるか、わたしにはまだ全然自信はありません。
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