負けちゃダメなのに…
by 2=8
エシェルトに大敗を喫した後、大邸宅の地下へと連れ込まれた。
上着を引き裂かれ、怪物へと姿を変えたエシェルトが覆い被さる。
敗北者がたどる運命など、亡命生活の中で骨身に染みて分かっていた。
あの薄気味悪い老人だったものが自分の中に入ってきたとき、イスピンは全てを諦めた。
辱められ、このまま両親の元に行くのだ、と。
怪物は滅茶苦茶に射精しながら、蛭のように胸元をいじり倒す。
ただ、血を吸うのではなく、その逆、何か小指の先ほどの異物を舌の先から送り込んできた。
身をよじって逃げようとしても前歯が嚙み込み、振りほどくことはできなかった。
何が起きようと死にゆく自分には関係が無いことだと経験から悟り、瞳を閉じ、おぞましい愛撫を受け入れた。
果たしてこの怪物に自我が残っているのか、キスをせがむように舌が唇に触れる感触があった。
抵抗はしなかった。舌は口腔に入り込み、舌と舌とが濃厚に絡み合う。
人間の舌に比べて太く、やわらかな舌の感触を他人事のように味わっていると、不意にそれが遠くへ行ってしまった。
目を開け、エシェルトと目が合った。なにか、物悲しい目だった。
不完全な石の力で怪物になった彼はもはや元の姿には戻れない。
組織にも、自分が築き上げたものにも裏切られた哀れな老人は、自分と同じ独りだった。
同情を感じたが、どうしたことか、それ以上に愛おしさを感じた。
腹の奥から、暖かいものがこみ上げてきた。
もう自分には帰る国は無い。属していたギルドにまで追われ、逃げるあてもない。
それなら━━━。
キスを求めて再び目を閉じる。吐息が近づいてくる。子宮が蠕動する。
エシェルトの一部がごぽりと膨らみ、何かを押し込んでくる。
それは彼の本体とも言うべき核だった。
たまった精液と愛液を噴き戻して、核が子宮に無理やり入り込んだ。
ここから数ヶ月をかけて核は少女の全身に神経をつなぎ、やがて老人と完全に一つになる。
少女は誓いの盃のように口の中の卵を飲み込み、もう失うことのない居場所を抱きしめた。
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