大ちゃんは困っていた
by ぽち
球技大会、後ろではすでに競技を終えたクラスメイト達がこの猛暑の中応援の声を張り上げている。しかし、彼女は今危機に瀕していた。それは負けているとかではなく、むしろ接戦の末、今彼女の弾丸サーブが火を噴きあと一回点を取ればこちらの勝ちというところまで来ていた。 が、このサーブ、小柄な彼女が放つにはそれなりの工夫が要される。体を逆くの字に曲げ、足のばねを活かすべく低姿勢からの爆発力を駆使し、加えて回転を与えず、相手コート上で一気に降下させる為に力のタメをその低姿勢のなかで練らなければならない! こんなサーブを試合中何度も放ち、咥えて機敏に飛び跳ねたり走ったりを繰り返しては、彼女だからこその問題が表面化する。 そう、ブラジャーである。 度重なる激闘が彼女のブラジャーを少しずつ、確実に、ずらしてしまったのだ! しかもそれだけでなく、なぜかホックが外れてしまい、脇を閉めていないとすぐにでも落ちてきてしまう! 今、彼女は困っている。 ちょっとでも動くとブラは落ち、クラスの男子に見られてしまう。 一端タイムを宣告して直させてもらうか? いや、既に他の試合の全てが終わり、見るものがここしかないとばかりに観客は一回戦の頃より格段に増えている。 この中でブラジャー直させてくださいとか言う度胸は、彼女にはなかった。 突然サーブの構えのまま硬直した大ちゃんを疑問に思ったか、会場の視線が彼女に集中する。気づかれたかと冷や汗が垂れる。 ただでさえこの猛暑、すでに背中や胸など、接触しやすい箇所はほんのりとその肌を映し出している。観客の中には、そのまま先端の野いちごも透けて見えないだろうかと目を血走らせる者もいた。(私である) いっそコートに突貫して大ちゃんとその体操着を直に味わいたいとさえ思う者すらいる。(これも私である) 青春と欲望渦巻くコート周辺の熱気は今ピークに達し、彼女の一球を今か今かと待ちわびる。 大ちゃんは困っていた。 動くに動けない、、、いっそ適当な理由で退場してしまおうか、、、否!断じて否!! チルノちゃんは私のサーブ権獲得のために奮戦し、溶けた。 ここで退くわけには行かない、、、でも、、、 友情と痴情の葛藤の中、その天秤を傾ける一言が、すでに蒸発しかかっているソレから発せられる。 「今日はノーブラの日だよ」 彼女の目に、再び闘志が漲る。大ちゃんは、今、ノーブラである。
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