水中花
by カエルの王様
ここは人身売買などを行う非合法な組織の倉庫。
私は最近この倉庫の管理部署に転属させられた一介の構成員だ。
以前はエリート部署にいたのにミス1つで左遷されてしまった。
こんな冴えない仕事に回されるとはツイてない。
今日は庫内の保管状況を確認する作業をする。
ここは美術品など貴重なものを保管する特別な倉庫。
それ故に他の倉庫と比べて扉も厳重で密閉性の高いものとなっている。
紫外線から守る為に窓はなく照明も薄暗く温湿度共に一定に保たれている。
この部屋の一番奥には特別なもの保管されているらしい。
行って見ると円柱型の水槽が2基設置されていた。
薄暗くてよく見えないが中には何かが浮いている。
底部に取り付けられた照明のスイッチを入れると中身が浮かび上がる。
人だ!驚いて思わず「うわっ!」と声を上げてしまった。
水槽内の液体が循環している為にゆらゆらと揺れている。
均整の取れた顔立ちに豊満なバスト、スタイルのいい美しい全裸女性。
手足首と首には金属製のリングがはめてあり左足首と首にチェーンが繋がれている。
乳首にはピアスリングが施されていてバーコードと「106」と書かれたプレートが付いている。
恥丘の部分にもバーコードと番号が刻印されていた。
目は半開きで虚ろな表情の美女。髪の毛と大きなバストが水流で揺れている。
何とも儚く美しい…思わず仕事を忘れしばらく魅入ってしまった。
隣の水槽の照明を入れると同じように若い全裸女性が浮かんでいる。
「107」の刻印がされて隣の女性より少し幼くスレンダーな感じでこちらも美しい。
顔が似ているので血縁者かも知れない。資料によると…えっ!35年前のもの?
なんとこの水槽は35年も前に設置されたものらしい。
この2人は35年前に組織に飼われていた奴隷のようだ。
どんな経緯でこんな姿にされたのか?なぜここに保管されているのか?
詳しい事情はわからないが水槽の中で衰えることなく永遠の時を刻んでいる。
少し遠目でボーっと眺めているとまるで美しい水中花を見てる錯覚に陥った。
倉庫の管理を任されてこれを拝む事ができて幸運だった。
2人のお陰で退屈だと思われた仕事に張りが出てきた。
「また来るからね。可愛い水中花ちゃん」
水槽と倉庫内の照明を落として扉をロックすると彼女たちに再び静寂が戻ってきたのである。
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