【被害者2】ヒルダ【転生オークの暴虐日記】
by オークポーク
ヒルダほど肝の据わった女はいない。
彼女はセンエーの町で生まれ育った。兵士だった父と孤児だった母親の間に生まれ、幼いころは女の子らしく花と織物が好きで、近所のかっこいい男の子に胸をときめかせる普通の少女だった。しかし、彼女の父親が4年ほど前にオークとの戦いで命を落とした。以来、母親は娼婦として子供たちのために働いていたが、二年前に梅毒に罹り命を落とした。
不幸中の幸いだったのはヒルダがその頃に成人していたことだろう。彼女は幼い弟妹を養うために長かった髪を切って売り、女だてらに父と同じく兵士の道を歩んだ。男顔負けの槍捌きで注目されていた彼女はいつしか副隊長の地位にまで上り詰めたが、その隊は隊長オットーの願望によって殆ど女性で結成されたものとは知らなかった。隊長の夜の相手をするのも業務のうちだと、学のない彼女は騙され続けていた。
聖暦1592年のある日、オークの軍団がセンエーに向けて進行を開始したという情報が入ってきた。いくつかの部隊が出陣し、オークの進行方向上にある山道で待ち伏せをすることとなった。
ヒルダはついに父の敵討ちができると、鋭く研ぎ澄ませた槍を強く握るのだった。
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