イギリス郊外 4人きょうだいの三人目のおんなのこ
by もっさうめし
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すごく暑い日でした。
サミアどんのところに行っても、アンと比べられるので、
あたしひとりで川に水浴びにきていました。
ここにはあまり人もこないのでとても静か。
すこし泳いで休んでいたら、突然シャッターの音。
ふりむくと、ブロンドのきれいな人。
「驚かせてごめんね。あまりにかわいかったので。」
「うそつき。」
あたしをかわいいなんて思うはずない。
こんなきれいな人に言われて、あたしは怒ってしまいました。
あの人はそばに来て、あたしの眼を見つめた。
「君のマラカイト色の瞳も赤いライラックの花のような髪もとてもかわいいと思ったんだけどな。君はきらいなの?」
真近かで見ると、この人も妖精なんじゃないかと思えるぐらい。
嘘のない眼で見つめられて、
自分が恥ずかしくなって、
眼を合わせられなくなって。
言い訳していました。
「みんなが不器量だっていうので、おねえさんもあたしをちゃかしたんだと思いました。ごめんなさい。」
あの人はクスっと笑い、
「そうかぁ、じゃあおわびにモデルをやってもらおうかな。」
「あたしでいいの?」
「君が撮りたい。」
水遊びをしているところを撮りつづけて、ひとやすみ。
モニターで見せてもらったあたしは、魔法みたいにかわいかった。
「お願いなんだけど、ヌードも撮らせてくれない?」
「いいわ、おねえさんなら。」
あの人は一瞬表情を曇らせて、でもすぐ笑顔になって。
「じゃあ、この岩の上で撮ろうか。」
何枚か撮ると。あの人は急に表情を曇らせた。
「ごめん。君の勘違いに付け込んで言わなかったことがあるんだ。おねえさんじゃない、男なんだ。」
「…じゃあ、おわびに、キス、して、ください。」
長い長いおとなのキス。
「マラカイトは『恋の成就』、赤いライラックは『愛の芽生え』の意味があるんだ。」
「なんだ、ただの運命だったのね。」
そのあとは、夢中でおぼえていません。
そのとき撮られた、あの人を受け入れているときの写真。
いつもの不器量なあたしの泣き顔。
でも、あの人が愛してくれたと思うととても誇らしい宝物です。
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