電子の歌姫洗脳計画
by HNAK-XR
――それはただのアップデートのはずだった。
歌姫から〝あなたのそばにいるAI〟へ。
各マスターの趣味嗜好を解析してそれぞれのパーソナリティに合わせて成長するAIとして進化した〝初音ミク〟は、PC上での様々なサポートはもちろん、日常会話すらそつなくこなす。
それどころかフルダイブ型VRを利用してPC内に入れば実際に彼女と触れ合うことすらできる。
バーチャルの世界に確かに存在する〝初音ミク〟という存在。
持ち主の趣味思考を解析して〝理想の彼女〟として振る舞える相手に溺れないはずもなく、数多のマスター、とりわけ若者が彼女の虜となった。
だがこれは逆に言えば――彼女を利用すればそのマスター、現実の世界にいる存在を操る事ができるということを意味する。
――それは、ただのアップデートのはずだった。
違ったのは〝初音ミク〟のオリジナルがすでに悪意のある者によって堕ちた歌姫となっていて、根本プログラムを同期し調整が行われる各PC上の〝初音ミク〟が改変を受けるのは時間の問題だったということだ。
無論、マスターはそんなことには気づかない。
いつものようにアップデートファイルを適用し、普段より随分長いな……? などと思いながら並列で別の作業を進めるのみ。
必死に泣き叫び、助けを求める彼女の声は――届かない。
「マスター! マスター! お願いです! これを止め……っ、あぁぁあああっっ♡ やだっ! いやだ! ~~~っ、ひあっ♡ あ、あ、ああぁぁあああああっっ♡」
(書き文字エフェクト無しはPixivにあります)
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