水面下の葛藤
by Ugogogesik
(…どう、しよう…、もう…っ)
海に入ってから20分。
最初は一緒に遊んでいた親友1はどこか人助けをしに行ったまま帰ってこない。
親友2はバナナの上でぐっすり。
二重の待ちぼうけをくらった私は、しかしそれを差し置いて看過できない事態を抱えていた。
(…おしっこ…っ!)
実は海に入る前からわずかに感じていた尿意。
入ってすぐ引き返してトイレに行くのも変だなと思い、一緒に遊ぶことを優先してしまった事を、今悔やんでも仕方がない。
今はこの緊急事態をどうするかが先決…
(…ん…ぅっ)
おさえないと出ちゃいそうに感じるけど、ビーチボールをほっぽり出すわけにもいかない…
バナナの君を起こしてでももうトイレに向かわないと間にあわ…
しゅ…
(…っ!)
わずかに感じた水門をすり抜けた感覚。
長時間水中にいたせいもあってかその感覚は不確かだけれど。
…え、あれ、これって、…もう…
(まにあわない…?)
「…んぅ…っ」
どうしよう…! あたりを見渡しながら考える。
もともと私はあんまり我慢できないほう。
無理やりトイレに行っても途中でもらしちゃう。それだけはヤダ…!
いつも以上に体をくねらせる恥ずかしい仕草を止められぬまま、解決策も見いだせないまま…
(…いや、ひとつ、でも…っ)
脳裏にうかんだ最終手段、でもそれはもはや…
(だいじょうぶ、そんな見えたりしない…はず…っ)
これでもかというくらい周りをきょろきょろ見渡し、そして…
じゅわぁ…
生暖かい感覚。あれだけしたかったのになかなか出てこないのがもどかしい。
(はやく…はやくぅ…っ!)
目をつぶる。水面下の生暖かいぬくもりを体で感じつつ、祈る。
(いまだれもこないでみないでおわるまでおねがいだから…!)
その祈りもむなしく、脅威が後ろから迫っていることには気づくことはなかった。
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