妊狼と廻る悦び
by kie
妊狼と廻る悦び
「ふっ、ふぅう゛ううッ…ンっあぉオオおおおーーーー」
「……ほぎゃああぁぁぁぁああ」
今年も出産という牝の務めに励む妊狼ホロ。大奮闘の末に産み落とした最初の仔を片腕に抱かせてもらうと、意識するまでもなく、あやすように揺らしながら、その小さな口を膨れ上がった乳頭へ導いた。乳を吸われたことで母の性に火をつけられ、改めて胎に力がこもる。一頭目を通して拡がった産道から、もう次の仔がひり出されて来た。窒息しそうな圧迫感と、己の股の間で牝肉が赤仔を送り出そうと力強くうねる感覚に、牝母は熱い吐息とともに吠える。
「あぉおっ!んっふぅ、ひっひっふーっ、ふっ、ひっふうーっ…あオッ!ぅおンッ!」
しかしその胎内には、片手の指では数え切れない赤仔たちが後につかえていた。待ちきれずに激しく動き出した赤仔の一頭から臍を肉の裏側から突き上げられ、無防備な妊狼はその強烈な刺激をもろに受けてしまう。
「んひ!?っっきゃおォんッ!」
強烈な刺激から反射的に、この十数年間にわたる数え切れないほどの主人との種付け交尾が、妊狼の脳裏に反芻された。それからその幻像に、恋しさと、羨望や嫉妬心にも似た浅ましい感情すら抱いてしまう。牝として当たり前の欲求が頭の中を駆け巡り、支配する。自分よりも強く賢い牡の寵愛を受け、その子孫を胎がはちきれるほどに孕み、産み落としたい。そして産んだ仔らに乳を飲ませながら、また次の仔種を恵んでもらうのだ。産みたい、孕みたい、産みたい、孕みたい……産みたい!
「んお゛っっおおお゛お゛ッッん……ンあお゛ッッほォォおお゛おおおおおおおおおおンッッ!!!!」
季節が巡るように繰り返される、最も単純な獣としての本能に突き動かされるまま、妊狼はひときわ大きな吠え声をあげた。初めは低い声で、そして最後には高らかに、どこか切なげな、しかし壮絶なほど情熱のこもった咆哮が響き渡った。それから数時間、交互に繰り返される牝母の咆哮と赤仔の産声の混ざり合う音楽が続いたのだった。
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