ビャック・オーパスの遺作

by 反•8456N

ビャック・オーパスは時代に抗えなかった画家の一人だ。
彼は人体の美しさに魅入られ、その神髄を追求することに生涯を費やすつもりだった。
しかし、時代は卑猥な表現を規制する動きが活発になり、作品が秩序を乱すとみなされた場合は、たとえそれが美術であろうとも、作品を燃やし筆を折ることを要求され、断れば処刑されるという事態にまで発展した。
それに反発した芸術家たちは、活動に対する批判の意を込めた風刺画を描いたり、敢えてより一層卑猥な絵を描くなどして抵抗した。
ビャックもその反対運動に誘われたが、彼は断った。
「たとえ私の裸婦画を卑猥だと叫んで弾圧しようとする者がいて、それに批判的な態度を示さなくとも、私の絵を理解してくれる者はきっと現れる。私にできることは社会への批判ではなく、自分が美しいと感じたものを描き続けることのみだ」
そう言葉を残し、彼は独りで黙々と裸婦画を描き続けた。
その内にも反対派の画家たちは次々に捕らえられ、ついに彼にもその矛先が向けられた。
この絵を描き上げた後、っビャックは規制派に捕らえられ、押収された作品を燃やされたあと、重罪人という名のもとに処刑された。