見習い悪魔６

by ばりかん

うちに見習いの悪魔ちゃんが来て３日、俺は困った事態を迎えていた。

別に魔力を間違った使い方をして周囲に迷惑をかけてるとかいうわけではない。
(彼女いわく、頭の中が真っ白になるくらい本気のオルガスムスを味わうと魔力が
一時的に暴走してしまうらしいが、幸か不幸か俺ではそれを起こせる程ではないらしい、くそぅ。)

彼女は服を着たがらないのだ。
マントやニーソなどは羽織ったり着たりするが、ぱんつを履きたがらない。
以前彼女が言ってた「うなじペロペロは性的行為」と同じくらい習慣が異なるのだ。
おまけに、

「だって、この世界だと服着ちゃうと普通の子なんでしょ？あたし、普通になっちゃったら
お兄ちゃんに見てもらえなくなっちゃう…。」

と、ちょっとしおらしいことを言ってくれる。

「ええ？なんでキミを見失っちゃうの？」

「お兄ちゃん、ハダカの女の子にしか興味がないから。」

くっ、図星だ。

「そのうえ、お兄ちゃんとひとつになるときに邪魔なんだもん。すぐヌルヌルに汚れちゃうし」
「ああ、年がら年中発情してるの？」
「ちがうの！お兄ちゃんの欲望オーラが強過ぎるから…うずうずしちゃうの…。」

…まったく、ヒトを強姦魔かなんかみたく言ってくれる。

「ねえねえ、ぱんつは履かないけど、ほかのことなら聞いてあげるよ？」
「他の事？」
「髪型をこんなふうに…」

彼女は髪をひと撫でする、するとポニーテールからおかっぱに変わっていた。

「ね？」
「おお、魔力すげー！大人になんないの？」
「成長魔法？それは難しいの。学校で習う前にこっち来ちゃったし。…大きいほうがいい？」
「ゴメン、聞かなかったことにしてくれ。つるぺた尊いです。」

…とまあ、こういったやりとりの後、ぱんつ以外の服は着てくれるよう譲歩してもらった。
彼女は、

「こっちの世界って結構あったかいから大丈夫。」

とか言ってるがスース―しないのかなぁ。風邪ひかないか不安。
などと俺もいっぱしの保護者ヅラするようになってきてるなぁ。
と、逡巡してると、

ピンポーン

とドアのチャイムが。

「こんにちわー、宅配便でーす。」

「あ、はーい、お兄ちゃん、あたしが出るね？」

と、肌シャツ１枚でトコトコと玄関に向かおうとする。

「その服じゃ絶対ダメ！ちゃんとした服、注文するまで出ないで～。」
「むー、けちなんだから～。」

宅配の受け取り証明にハンコを押しながら俺は焦っていた。
は、早く彼女に似合う服を！最悪、俺のお古で！

だが肌シャツも似合ってるよなー。と俺の中の悪魔が囁くのだった…。