【掌のバレエ萌え小説】心と躰を造る訓練
by 碓井央
「もしかして──辛い?」
「──そんなことないよ」
「でも躰の本能に逆らうっていう意味では──あなたのほうが」
「かもね──でもここまでしてもらっているわけだから──耐えなきゃ」
「勘違いしないで──あなたに何かを『与えている』わけじゃない」
「こういうことが対等の関係になるために必要だと私は考えたの」
「──凄いね」
「何が?」
「考えた末の結論が『こういうこと』だってところが」
「──分かりきっていたことだったし──ただこうするまでに時間がかかっただけ」
「怖くない? 欲情している男子と──この状況」
「男子の本能だけが差別されてる──それが気に入らない。でも私自身の中にも差別はある」
「だから、受け容れる心と躰を造りたいの」
「──そこまでしなきゃならないことなんだね」
「もちろん、自惚れが強過ぎてまともな判断ができなくなってるだけかもしれないけど」
「──だんだんこれが現実なのか夢なのか分からなくなってきた」
「いままで経験したことのない現実ってのは夢みたいな感じがするものよ」
「でも夢も慣れてしまえば──そのうち現実の一部になるの」
「慣れるのかな──」
「少なくとも私はもうだいぶ慣れてきたけど?」
「本当に──?」
「でも──まだ強く──したりしてはダメよ?」
「あくまでも──これは訓練なんだから」
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