(リクエスト)影狼ちゃん無自覚肉便器化
by おれんじまんぼう
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ろくに内容も見ずに、確認欄に判子を押す。
いい加減なものだ。いつもどおり、急いで押されたのだろう、掠れた自分以外の責任者の名前が横一列に並んでいる。
実験志願者の任期満了に伴う、投薬および管理の終了についての書類だ。数日に一枚、机の上に放られている。
もとはと言えば、妖怪などの前までは信じられていなかった種族を保護するために始まった計画ではあったものの、いざ蓋を開けてみれば、人間の独りよがりだ。
手っ取り早く言えば、数を増やすことが第一の目標。
彼女は既に絶滅したニホンオオカミの化物だったから、より丁寧に扱われた、とテンプレートどおりに書かれた建前が書かれている。
一番下の部分には、彼女の拇印。
それが本人の意思によるものかどうかはは、正直な所かなり怪しい。
大体の場合、妖怪は保護された際、『人妖双方に不幸が生じないよう』
反抗心、高度な思考能力、認識能力の大半を薬剤によって奪われる。
その状態で説明が為され、本人から異議が無い限り、保護プログラムが開始される。
ほとんどの場合、空間に撒かれた薬剤を吸引することによって本人のあずかり知らぬところで行われ、その後は何度も薬剤を投与される負担を考慮し、大脳新皮質にいくつかのチップを外科的に埋め込まれる事で、プログラム中の『事故』を予防されている。
彼女が入所したのが、ちょうど半年前。施設に居る間のほとんどの時間、彼女は部屋の中にへたり込んで通る職員の顔をぼんやりと見ていた。
そこに意思があるかはどうでもいい。手続きと命令どおりにやれば、こちらはいい思いができる。
彼女は保護された場所に戻されて、チップに送られている信号から外れる。
もちろん、そのまま放り出されるわけではない。子供を出産するまでの食料と、簡易的ではあるが防寒具が支給される。
・・・、元の数十倍くらいに広がった骨盤胎盤と、処置の副作用によって肥大化した陰核をぶら下げて、それから孕んだ覚えの無い12人の子供を出産する羽目になる。
それらは全部元には戻らないし、彼女が生きている限り、20年は自動的に次の子供が彼女の胎に宿る。実に効率的に種族を復活させられるというわけだ。
現に、街中にはチラホラ、『妖怪』が人間に混じって姿を見せるようになってきた。その全てが人間によって管理され、幸福に暮らしている。ただし母体のほとんどは人前に姿を見せないが、時折保護の途中で見かけることもある。でかくなった腹を引きずりながら、人間から隠れようとすることがほとんどだ。
仕方のない犠牲、として、彼女たちには人間のほうも目を向けない。山で勝手に子供を産めば、手間も無い。
数年後には、絶滅していたはずのニホンオオカミが再発見される衝撃的なニュースが流れることだろう。
そんな妄想をしながら、私は判子を押した書類をキャビネットに押し込んだ。
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2月の中旬に受けたリクエスト故、まだ追いかけてくださっているか不安ですが・・・
しばらくかかりきりになっていた作業が終わったため、久しぶりにリク消化です。
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