へちれこ1-2p
作戦記録01A3 2235/08/10
敵性体の獲得した器官はやはり対へちモデルのものであった。
生体部品の神経系を攪乱する電流を流し込み、一定時間全身を麻痺させる。
初撃は耐えた。
しかし、効果を認めるやいなや、敵性体は執拗に電撃を撃ちこみ続ける。
この時点で、当指揮所とへちの通信が途絶える。
負荷に耐え切れず、機械部品の一部が焼き切れたのだろう。
以降現地の状況をモニタリングすることは不可能となった。
最後に確認できた機体状況から、機能回復に要する時間は180秒と推定される。
その時間を耐え抜けば、電流耐性を得、反撃に転ずることも可能だろう。
――――――――――
(以下、帰還したへちマルチプルニブの記憶野からの抜粋)
電撃が私に与えたのは痛みではなく快楽だった。
肉の内側を舌でなぞるような感覚が立て続けに走り抜ける。
途端に力が抜け落ちた。まるで肉体と精神が切り離されたように、私の抵抗せんとする意思はむなしく素通りした。
2撃、3撃。
数えられたのはそこまでだ。
どれだけの電撃を受けたのか定かではないが、気づけば私の体は敵の胴体へと磔にされていた。
両手足は鋼のような指に締め付けられ、僅かにも動かせそうにない。もちろん、そもそも一切の力が入らない麻痺状態にあったのだが。
不思議と意識ははっきりしていた。
感覚も同じ。
ただ、夢の中にいるかのように、自分の意思と肉体のつながりを絶たれているのだ。
露出した肌――流体装甲を、ぶよぶよとした吸盤がついばんでいるのが分かる。
それが私の一部を押し込み、または引っ張るたびに、ぞわぞわと悪寒が染み込んでくる。
私はその感覚を、ただ黙って享受するほかなかった。
機能回復まで180秒。
それを耐え抜くしか私に戦う手段はない。
その時、視界の端、破廉恥に広げさせられた脚の間で、耳障りな粘液音を上げてほの光る肉がせり上がった。
生臭い臭気が立ち上り、私の嗅覚を刺激した。
つづく
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