【ホラー】とらわれの…
by 解応寺 このえ
少女「 放してっ!放してよっ!」
かび臭い地下室で、黒光りする鉄の鎖で、四肢を繋がれて自由を奪われた少女が、叫んだ。確か、いつもの教会に、いつものミサに行って、帰り道に、懺悔をすることを思い出し、神父を探していたら、子供に風船の束を渡す神父を見つけて、気を失った。気がつけば、この部屋に居たのである。
神父「 そういう訳にもいかないなぁ。あの取引を見られたんじゃ。」
少女「 取引…???」
そう言われても、子供に風船を渡していただけである。
不思議そうに、頭をひねっていると、幼い幼女の声が、二人の会話に加わってきた。
謎の幼女「 そうだよ、お姉ちゃん。」
少女 「 あなたは、あのときの…。」
いつから、そこに居たのか、色とりどりの風船の束を持った幼女が少女を見ている。神父はといえば、何故か臣下の礼をとって、跪(ひざまず)いていた。
そんな神父に目をくれず、幼女は、囚われの少女に近づくと、笑顔を向けた。
謎の幼女「 お姉ちゃん。帰してあげてもいいよ。」
少女 「 えっ?ほんと?」
謎の幼女「 うん。嘘はつかないよ。ただし、お願いを聞いてくれたらね。」
明るい表情の少女に、幼女は、ポケットから、しぼんだ黄色い風船を取り出して、
更に言葉を続けた。
謎の幼女「 この風船を、膨らましてほしいの。」
少女 「 えっ??それだけ???」
謎の幼女「 うん。」
もっと、いろいろと拷問でも受けるのかと身構えていたら、年相応の依頼で、
少女は拍子抜けしてしまい、まぁ、それくらいならと、簡単な気持ちで受け取った。
少女 「 なんか、手押しのポンプとかはないの?」
謎の幼女「 ないよ。それに、それ、息でしか膨らまないよ。割らないようにね。」
こくりと、少女は頷くと、息を吸い込んで、ぷるんとしたくちびるに、風船をあて、ゆっくりと、膨らませはじめた…。
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