華乃さんの朝のセレモニー
by 碓井央
華乃さんは登校のとき駅のトイレに行きます
おしっこが出ないと分かっていても必ず行くのです
それから いろんな顔の大人たちと一緒にホームに行きます
やがて 呪文のようなアナウンスが響いて電車がきます
いつもの電車のいつもの車両
前から二番目の扉から入って反対側の扉の前に立ちます
電車が動き出してレールの鳴る音がだんだん大きくなっていきます
華乃さんの心臓の音も大きく速くなっていきます
しばらくすると電車が速度を落としはじめます
でも 華乃さんの心臓は駆け足のままです
次の駅に停まり 大勢の人が入ってきます
そして
いつものあの男の子が華乃さんのま後ろに立ちます
華乃さんは絶対にその子の顔は見ません
見てしまったら何もかもおしまいだと思 うからです
ドアが空気を鳴らして閉まり電車がふたたび動き出します
レールの鳴る音が大きくなってきます
華乃さんは誰にも気づかれないように そろそろとスカートの下に手を伸ばします
すると 後ろの男の子はかすかに息を吐きます
華乃さんは口をきゅっと引き結んで指を動かしはじめます
でも 身体はけっして動かしません
肩も腕も脚も絶対にです
お腹の奥からじわじわとせつない疼きが拡がってきます
後ろでも男の子が何かしている気配がします
それが何なのか華乃さんは分かりません
レールの音が響きつづけています
同じぐらいの音が華乃さんの躰の中でも響きます
疼きが強くなっても こらえます
この毎朝の儀式はずっと続いています
もうやめなくてはといつも思うのですがやめられないのです
ふたたび 電車が速度を落とし始めます
次の駅が華乃さんの学校がある街の駅です
いつか後ろの男の子の顔を視るときが来るのでしょうか
しっとりと湿った 股間から手をそっと離しながら 華乃さんは誰にも聞こえないため息をつきます
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